外構と建築の一体設計の重要性
家を新築する際、ハウスメーカーに建築依頼をする場合が多いと思います。基本的にハウスメーカーは「ハウス」メーカーなので、外構・エクステリアは協力会社や下請け会社の設計・施工になることが多いでしょう。
その際出てくる問題の観点から、家の設計時に外構も一緒に考えたほうが良い理由を見ていきましょう。
◇エクステリアアイテムにも ◇まとめ |
エクステリアアイテムにも建蔽率・容積率に含まれる物がある
LIXIL/ガーデンルーム 暖蘭物語
外構と建築の一体設計は、機能性と美しさを両立させることができます。例えば、建物のデザインや配置を考慮して、庭やテラス、デッキなどの外部空間を効果的に活用することが可能です。
また、風通しや日当たりなどの自然条件を考慮したデザインによって、快適で使いやすい外部空間を実現することができます。
しかし一体設計の目的はそれだけにとどまりません。
建築物は、その割合は場所によりますが敷地面積に対して何%建築面積に使ってよいかの割合「建蔽率(けんぺいりつ)」が決められています。
建蔽率の計算方法は場所によって違いはありますが、エクステリアアイテムにも建蔽率に含まれるものが多くあります。「エクステリアで設置したい物があるのに建物で建蔽率かつかつで断念」となってしまう場合があるのです。
一体設計はそのリスクを回避することができます。エクステリアは広義に建物外観も含むため、そもそも一緒に設計するべきものだと考えますが、建物に予算を使いたいのは建築側としては当たり前。
希望のエクステリアにするためには、一体設計を希望することを建築請負業者に前もって話を通しておきましょう。
◇建蔽率に含まれるエクステリアアイテム
基本的な考え方として、「屋根・柱・壁がある場所の面積は建蔽率に含まれる」とざっくり認識しておきましょう。もし外構プランが建物設計完了後になってしまう場合も、前もってエクステリアに割きたい建築面積をある程度算出することができます。
しかし当然ながら、外構と建築の「一体設計」がベストであることは変わりません。
エクステリアアイテムで建蔽率に含まれる・または含まれることがあるものを挙げてみましょう。
わかりやすいものから行くと、
・玄関ポーチ
・ガーデンルーム
・カーポート、車庫、サイクルポート
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LIXIL/ガーデンルームGF |
三協アルミ/X.STYLE カーポート |
条件に当てはまると含まれるもの
・デッキ、テラス
・ベランダ、バルコニー、庇(ひさし)
ウッドデッキ |
バルコニー |
建築場所が防火地域・準防火地域の場合は、さらに違う条件もあることが多いため、よく確認しておきましょう。
ライフラインの計画も一体設計がベスト
エクステリアを造り込みたい方は、お庭やガレージで水や電気を使いたい場面が多かれ少なかれあるのではないでしょうか。広めのバルコニーなども電気が使えたほうが楽しみは倍増です。
リフォームで後から設けることもできなくはないのですが、配管の通し方や構造上の特徴が要因で大掛かりな工事になってしまい、予算面や住まいながらの工事が難しいなどで設置を断念せざるを得ない事もあります。
そうならないためには「一体設計」がベストです。エクステリアも生活の一部ですから、どのように暮らすのか、そのために何が必要か。エクステリアの造り込みは建物の設計と同時に行い、暮らしに必要なライフライン設計を依頼しましょう。
「外構は建物設計の後」で新築した結果、後悔する方はかなり多いです。
一生家から一歩も出ないのであれば、エクステリアなど気にも留めずに暮らせるでしょう。インテリアが希望通り充実していれば充分なはずです。しかし、そうは行かないのが「暮らす」「住まう」と言うこと。エクステリアは暮らしの快適さを整え、街並みを造ります。
家の中だけでなく「暮らし」を全て見つめた、エクステリアと建築の「一体設計」を、これから新築される方は請負業者に相談してください。
それぞれの詳細な条件
最後に、代表的なアイテムの建蔽率・容積率などの条件を詳しく列挙してみます。
ぜひ新築「一体設計」の参考にしてください。
※容積率/敷地面積に対する「延べ床面積」の割合。インフラ整備など環境が整っていないエリアに延べ床面積が多い住宅(3階建てなど上に高い建物)が増えすぎると、人口が増え処理能力が不足し街の住みよさが無くなる。人口を調整するための規制。
◇玄関ポーチ
建蔽率:含まれる
ただし、庇型ポーチで支える柱がない場合で外壁から長さが1m以下の時は除外される
容積率:通行用の場合は含まれない
ただし、車庫や作業場などの用途の場合は含まれる
◇ガーデンルーム
建蔽率:含まれる
10㎡を超える場合は建築確認申請も必要
容積率:含まれる
LIXIL/ガーデンルーム ココマ
◇カーポート、車庫、サイクルポート
建蔽率:含まれる
ただし、「外壁のない部分の間隔が4m以上」「柱の間隔が2m以上」「天井の高さが2.1m以上」「地階を除く階数が一であること」を満たせば、「その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない」
容積率:敷地内にある建築物の延床面積の5分の1までの場合は除外
LIXIL/スタイルコート ガレージ
◇デッキ、テラス
建蔽率:含まれる場合がある
「屋上に設置(建物からはみ出さない)」「屋根なし」「屋根あり、建物からの長さが2mを超えず3方向が開放」「1階屋根として機能しない2階部分での設置」は除外
容積率:含まれない
ただし、自治体によっては屋根や壁・囲いなどで開放性が認められないと含む場合がある
三協アルミ/VILLA WOOD
◇ベランダ、バルコニー、庇(ひさし)
建蔽率:含まれない
ただし、
・外壁からの長さが1mを超える場合、突き出し部の先端から1m後退したところまでが含まれる
・外壁からの長さが1mを超えていなくても柱や両側に壁がある場合は含まれる
容積率:含まれない
・外壁から2mを超える場合、超えた部分は含まれる
・インナーバルコニー、三方壁+屋根のバルコニーは含まれる
・格子を付けたバルコニーは含まれる(開放性を損ない屋内性を持つとされる)
◇ビルトインガレージ(インナーガレージ)、屋内車庫
建蔽率:含まれない(建物を真上から見て家の中に収まっている場合)
※ビルトインの捉え方によっては建蔽率に含む形状もあるので注意
(例:建物と連結ではあるがガレージとして独立している ← 本来ビルトインとは違うが、ビルトインと呼んでいる場合がある。)
容積率:含まれる
ただし、延べ床面積の5分の1までの場合は除外
※上記内容は市区町村や地域で条件が異なる場合もあるため、お住まいを建築する市区町村の定めをしっかりと確認してください。
まとめ
新築計画を「一体設計」で!と思っていただければ、今回のコラムは万々歳です★
エクステリアも暮らしの一部。大切に計画してくださいね。
★この記事を読んで
「これ悩んでた!」「ずっとどうにかしたかった」とピン!と来た方★
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