2022.03.18
春が来た Le printemps est arrivé
春が来た!春がきた!春が来た!
渡り鳥がスペインやモロッコから帰ってきて、北の空へと、Vの字を描きながら飛ぶ姿が見られるようになると、冬が終わったお知らせ。
気付けば我が家の庭も、原種の水仙、ムスカリ、すみれが絨毯のように広がり、なだらかな斜面が春色に変わり始めました。
そんな折り、私たちSalon Rustiqueの3人で作っているフランスの田舎暮らしを綴るWEB雑誌の春号の撮影も始まりました。
それぞれ春の野草料理を作るのに、Chieさんと私は、「まだタンポポは咲いてないよね?」なんて話しながら庭に出てみると……。
家からは見えなかっただけで、なんと、太陽の方向に向いてかって「ブワ〜っ」とかなりの数のタンポポが咲き始めていました!わぁ良い子達。
そういえば、我が家で養蜂している蜂達も、最近、忙しく巣箱から出たり入ったり。
どうやらタンポポ目当てだったようです。
春のお知らせは、こんな小さな虫たちからも送られてきていて、微笑ましい気分になります。
タンポポに続き、庭では、ハコベも一面に。
触ると痛いイラクサも、食べられる野草。
イラクサは、一見「紫蘇の葉」のような形をしていますが、実は、触れるとチクチク!っと皮膚が真っ赤になり、半日ほどジンジン痛いので、イラクサって言うそうですよ。
庭の整備を始めた頃は、イラクサだらけでとにかく痛い思いしかしたことがないので、「体にいいんだよっ」て何度も言われても、自分で料理しようと思ったことはありませんでした。
フランスでは、昔からこの時期のイラクサの葉を使って、スープなどを作る方が多いです。
健康志向のChieさんは、アペリティフに、このイラクサを使ってケークサレを作って、持ってきてくれましたよ。
私は、タンポポの葉っぱとすみれで「今だけ限定!タンポポサラダ」を作りました。
タンポポも花が出てくる前の柔らかい葉っぱのときだけ美味しく頂けます。
タンポポが首を伸ばし始める頃、今度は無数の綿毛が大地を白く染めていきます。
遠くに飛んで行こうとする綿毛が庭に舞い始めると、まるで雪のよう。
そんな庭を歩いていると、顔から洋服まで、あちこち綿毛がつくのが玉に瑕。
ですが、その幻想的な風景は、それはそれは、見事です。
今年も、その風景に出会えるのが楽しみです。
さて、Salon Rustiqueの3人で、近くの水仙の森にも出かけてみました。
そこは、誰にも知られていない水仙の咲き誇る森。
初めてご近所さんに、この場所を教えてもらったとき、無数に広がる水仙にものすごく感動!それ以来、水仙の季節になると、そろそろ咲いたかなと、幾度となくこの森を訪れるのが恒例です。
フランスでは、多くの方がそれぞれお気に入りの秘密の場所を持ち、その場所を静かに見守ります。
私にとっては、この水仙の森もその一つ。
森の入口は、イバラや鬱蒼とした枝がいっぱい生えていて、「まさか、ここを抜けて中に入れるの?」と言うような隙間から森に入っていきます。
そして、「あいたた、あいたた!」と枝をかき分け、中に入っていくと、落ち葉を踏みしめた通り道が出てきます。
「不思議の国のアリス」になった気分で、その小道をしばらく歩いていくと、突如、一面に広がる原種の水仙が迎えてくれるのです。
私たち3人が訪れたその日も、森の木漏れ日を受けながら満開でした。
Chieさんは、野草料理に使う紫の可愛い花を摘んでいました。
「これはエディブルフラワーなんだよ!」
「でも、水仙には毒があるから、わんちゃん気をつけなくっちゃね!」
「あ!ブルーベルも咲いている」と。
普段は静かな森で、水仙の美しさに癒され、そして、春の食べられる野草探しで時間を忘れて過ごす私たちの声が響いていました。
こんなふうに、自然に触れることで得られるガーデンセラピーの効果。
私は、この水仙の森の風景に憧れ、庭に、毎年、水仙を植え続けています。
自宅に少しずつ広がる水仙の黄色の世界。
香りとともにその色は、私が子供の頃から見て育った淡路島の水仙郷の思い出を掻き立ててくれます。
思い出が回想する心地よい時空に身を置くのも、「ガーデンセラピー」と言えますね。
皆さんも、思い出の花とともに春を満喫してくださいね。 佳代子
Salon Rustique さんプロフィール
フランスの田舎に住む日本女性3人が、それぞれの地方で奮闘しながら暮らす様子を綴ったフランス感満載サイト。
フランス各地に伝わる伝統料理、インテリア、アンティーク、庭で採れる果物等を使った天然酵母、山で採れる野草などを使い、自然とともに生きる暮らし方を綴っています。
年4回発刊されるWEB雑誌も好評中。
https://www.salon-rustique.com/
佳代子さんプロフィール
1968年生 兵庫県生まれ。
兵庫県小野市の花と緑のまちづくりを20年非常勤の学術政策員として勤務しながらフランスの鴨やフォアグラで有名な美食の地である「ペリゴール地方」に移住し7年目。サロンルステックでは、庭の花や緑、動物と過ごす日常の日々を綴り、お料理や手仕事を楽しむ日々の暮らしをご紹介しています。
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1 件のコメント
淡路島! 水仙郷!行ったことあります!
もう40年以上前、まだ若くてスカGを乗り回していた頃、水仙郷の噂を聞いて「行こうぜ!」となり、朝6時頃からR11を一路東へ。腹が減ると、自販機のカップラーメンで飢えを凌ぎ、まだ鳴門海峡に橋が架かってない時代、フェリーで渡り多分こっちだろうと細い道を走ること1時間余り。海が見えた!斜面一杯の水仙!それを見ただけで何となく達成感に浸りましたが、帰りは疲れてみんな無口。お嬢さんたちも居眠り。私は、4人の命を預かり眠気との戦い。往路では予想もしていなかった雪の積もった峠道も何とかクリアー、松山についたのは夜に11時でした。
水仙が咲く頃には、時々あの小さな、そして無謀な水仙郷日帰り旅行を思い出すことがあります。あの時の可愛い子ちゃんはどうしてるかな?もうおばあちゃんになってるかな?