狭小間口地エクステリアづくりのポイント ―京都に多い「ウナギの寝床」―
土地の形は場所によって様々。形によってはエクステリアを造り込むのがなかなか難しい場合もあります。けれども今はたくさんのアイテムがあり、エクステリアをつくること方法・手段は大変多彩になっています。
京都に多い「ウナギの寝床」など、間口が狭い土地のエクステリアアイデアを探ってみましょう。
◇土地の形状 ◇エクステリア工夫術 |
土地の形状
まず、土地は大きく分けると「整形地」と「不整形地」に分かれます。
「整形地」は四角形、正方形や長方形に整えた土地です。土地を有効に使えるので設計・建築がしやすく、そのため売却時も売れやすい形状です。
対して「不整形地」は、台形や三角形、L字などの形が整っていない土地です。建物の形と土地の形が一致しないため、面積に対して建物が小さくなる傾向があります。ただ、建物を建てられないスペースを有効活用することは可能です。
代表的な形状をいくつか説明しましょう。
◇整形地/四角形
四角形に整形された土地の中でも正方形の土地は分譲地として大規模造成した土地が多く、建築しやすいため人気が高い形状です。
長方形は、道路と面している間口が広いタイプ、間口が狭く奥行きがあるタイプの2種類があります。
間口が広いタイプは道路に面する駐車場スペースを確保しやすいメリットがあります。反面、奥行きがないため庭も道路に面したつくりになりがちです。
間口が狭く奥行きがあるタイプは、駐車場の確保が大変になりやすい反面、奥行きがあり駐車場と別に庭をつくりやすいメリットがあります。しかし、隣の建物との距離が近く採光も工夫が必要です。
◇不整形地/旗竿地
前面道路と接する場所まで通路を伸ばした、L字型の土地です。竿に旗を付けたような形からこう呼ばれています。
周辺をほかの土地で囲まれているため、通風や採光・出入口の見通しをよく考えて設計することが必要です。
竿部分である通路の活かし方は幅次第ですが、2~3台駐車できる場合があります。また、奥まるため前面道路から様子が見えずプライバシーを守りやすいメリットがあります。
◇不整形地/三角形・台形
三角形や台形の土地は角がデッドスペースになりやすく、一般的には使いにくい土地とされています。
ただ、建物を建てられないデッドスペースは採光・通風にはよい条件となり、隣との距離確保にもなります。
エクステリア工夫術
間口が狭い土地のエクステリアは、どう見せたいかによって工夫が必要です。
◇アプローチは曲げる
接道部分の間口が狭い場合、エクステリアとしてはアプローチを設けるのみになることも多いでしょう。
そんな時は直線的にアプローチを設けるのではなく、ルートを曲げましょう。
玄関ドアの正面からではなく少しずらした位置から入り、アプローチ終わりは外壁と並行になるように造るのです。つまりL字です。
・玄関を正面に見ない
・歩く距離が直線より増える
・歩きながら目線が変わる
これらの要因によって、コンパクトな空間ながらアプローチの距離感を感じさせることができます。
◇接道面全面にフレームでゲート感を出す
タカショー/ホームヤードルーフシステム ライティングフレーム
門柱・門扉や塀・フェンスを設置すると圧迫感が出てしまう狭小間口の土地には、接道面のフレーム使いがお勧めです。
シンボルツリーなど植栽をプラスするとなお良いでしょう。
オープン外構でありがちな敷地侵入や、玄関丸見え状態をおしゃれに払拭することができます。スクリーン+軽い植栽でも、軽やかにエントランス感を演出できます。
また、フレームと同じシリーズのルーフなどを使い建物と一体感を出せば、住まい自体のグレード感を上げることもできます。
外構として魅せるのではなく、フレームやルーフを1つの建物として演出してしまいましょう。
◇接道面ではなく隣地境界面にウォールでボリュームを
LIXIL/Gフレーム スクリーン
接道面が狭小の土地で正面にウォールを設置するのは難しいですが、隣地境界ならば可能です。
高さのあるウォールはボリューム感を出し、インターホンや宅配ボックスの設置もできます。
隣からの目隠しと空間の分断にもなり、演出したいエクステリア空間を造りやすくなります。
◇玄関ポーチ・バルコニー意匠・外壁はエクステリアとして計画する
玄関ポーチやバルコニー(諸条件あり)は建蔽率に含まれるため建物設計で計画します。しかし、デザインや各素材選定はエクステリアとして外構プランの中で考えるのがお勧めです。
建物接道面の意匠とエクステリアの世界観が違うと、玄関ポーチの分のデザインが分断されエクステリア空間が狭くなってしまいます。一緒に計画することでデザインや世界観を統一し、狭小間口でも最大限エクステリアとして有効にデザインすることができるのです。
まとめ
京都は平安京の発展・衰退から「住みこなし型街づくり」によって変化してきた経緯があるため、狭小地や細長い土地が多く建築基準法上建て替えができなかったり、歴史文化・自然・景観保存のため条件も厳しいなど、エクステリア計画に苦労せざるを得ない土地が数多くあります。
しかし、狭小間口のエクステリアポイントを押さえることで、可能な限り希望の空間に近づけることも可能です。
京都のみならず狭小間口の土地に使えるポイントですので、ぜひ活用して素敵なエクステリアすまいを実現してください★
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