オープン外構とクローズ外構 - どっちがいいの?
家を持てば誰しもが、素敵なデザインの外構を造りたいと思うものだと思います。外構を考える上でプランを大きく左右するのが“オープン外構”か“クローズ外構”か、どちらにするかによって他の外構仕様が全て決まると言っても過言ではありません。
今日は、そんなオープン・クローズ外構について焦点を当ててみましょう。
オープン、クローズ外構とは?
元々、現在で言う「外構」は「外構え(そとがまえ)」と言い、武家屋敷の門・塀・垣などの配置・構造の事を指します。つまり、「侵入者を防ぎ、敵から守る」事が目的でした。農家は家の前には畑が広がり、工商は町家や長屋住まいで、武家屋敷以外に外構えはありませんでした(はっきり記録がある江戸時代で、貴族・武士・僧侶など特権階級を除いた平民が9割でした)。一部裕福な豪農は外構えを持っていたようです。
となると、今でいう「クローズ外構」は「外構え」の現代版と言う事ですね。それに対して、外構えを取っ払った状態を「オープン外構」と呼ぶイメージで良いと思います。クローズ外構ほど閉ざしておらず(特に門扉はない)目隠しはしっかりのタイプをセミクローズと呼んだりもします。
近年主流になっているオープン外構は、かつての経済成長が勢いを無くし現代日本の裕福さが衰えている表れとも取れますし、いかに安全かの証でもあるのかもしれませんね。
ちなみに明治時代になって建てられ始めた一般住宅(今で言うクローズ外構の住宅)は、武家屋敷をモデルに外構を造ったようです。
オープン、クローズ外構、結局どっちにすればいいの?
結論から言うと、「住まう人次第で違う」と言う事なのですが、それぞれの特徴からメリット・デメリットを拾ってみましょう。
◇オープン外構
オープン外構は開放的でパブリックなイメージの住まいに仕上がります。
敷地境界があいまいで、通り抜けに使われたり知らずに入られたりしやすい点があり、敷地境界をはっきり見せるため植栽をしたりポストや機能門柱を配置したりの工夫をすることが多いです。
メリット
・敷地が狭くても開放的な印象にできる
・使用建材や製品が少ないためコストを抑えられる
・リフォームで造り変えがしやすい
デメリット
・敷地内に侵入されやすい
・プライバシー確保が難しい
・子供やペットの飛び出しが起きやすい
◇クローズ外構
外構えの話からも分かるように、門扉・門柱、塀・フェンス・生垣などを駆使して、道路やお隣との境界をきっちりと区別した仕上がりです。
当然オープン外構に比べてプライバシーの確保は容易な造りですね。
メリット
・泥棒など外部からの侵入の抑制になる
・重厚感のある佇まいに仕上がる
・子供やペットの飛び出しを防ぎやすい
デメリット
・外部から侵入された場合は隠れやすい
・敷地が狭いと圧迫感につながる
・使用建材や製品が多く、コストがかかる
◇どちらのスタイルにするか
新築の場合、建物設計の段階で外構に当てる広さが調節できるため、どのように暮らしたいかで考えるのが無難と言えます。
例えば
・敷地が狭いが目隠しは欲しい → 建物を接道面から奥側に配置し、外構を広く取ってクローズ外構に。中庭がない代わりに外構を優先する。
・犬がいるので表は飛び出しが怖い。中庭で遊ばせたい → 中庭をしっかり取り建物側面に逃げ防止対策を施し、庭に敷地を当てた分表の解放感を出すためオープン外構に。
上記のように、暮らしの中で外せない条件に沿って決めるのが無難で、後から“失敗した・・・”と言う事態になりにくいです。
失敗した話を聞いていると、「深く考えずデザインの好みで決めてしまった」「建物に予算を割きすぎて外構まで予算が回らなかった」など、計画段階での思案不足が失敗につながっている例が多いようです。
オープン、クローズどちらにも使えて素敵なアイテム3選
それでは、どちらのスタイルになっても使えてデザインも多様な、とてもおすすめのアイテム・製品を3つ、本日の最後としてご紹介します!(筆者の個人的好みがかなり入っています!笑)
① LIXIL/スマート宅配ポスト
この宅配ポストはすごいです!当店も導入させていただいているのですが、埋め込み・後付け・機能門柱セット・後ろ出し前出し、、、使用状況に合わせて多様な施工が可能です。
そして、電子錠のロックはもちろんですが、遠隔で宅配業者と通話ができます。荷物を1個入れたら終わりではなく、ボックスがいっぱいになるまで遠隔で開錠して受け取ることができます。
他にも豊富なスマート機能があり、とても賢い宅配ポストなのです。
当店は埋め込み前出しタイプ。 遠隔のためのカメラがあります。
様々な施工に対応しているので、オープン・クローズ外構のどちらでも設置できるのも良いですね。
② ガビオン
「蛇篭」 画像引用:静岡県建設業協会WEBサイト
ガビオンは日本語では「蛇篭(じゃかご)」と呼び、円筒系の形が蛇の胴体に似ていることから付いたようです。河川改修、災害復旧工事などで土留などに使用されてきたアイテムで、古来、竹を網み内部に石などを詰めて使っていました。明治時代に初めて亜鉛メッキ鉄線の仕様に成功し、今日では高耐久の亜鉛-アルミ合金メッキ鉄線が開発され蛇篭の適用範囲が大きく広がりました。
「ガビオン」はイタリア語から来ているよう(諸説あり)で、海外でも広く普及しています。
画像引用:オンリーワンクラブWEBサイト
ガビオンは石材の選び方や詰め方、詰める量などアイディアで様々にコーディネートでき、ただただエクステリアのデザインとしたり目隠しの塀として活用したり、自由度・意匠性が高い外構アイテムです。
植栽や石敷きと併せてロックガーデンのように箱庭にしても素敵ですし、エクステリアとしてコンクリート塀では重たすぎるときにガビオンで仕上げたり、大変有用でおしゃれに使うことができます。
言うまでもなく、ガビオンもオープン・クローズ外構の両方で使うことができますので、お好みに合うのでしたらぜひ取り入れたいですね。
③ ロートアイアン
ロートアイアンは、製鉄技術が生まれてからハンドメイドで造られてきた、鋳造(熱した赤い鉄を叩いたり延ばしたり曲げたりして多様な形を作り上げる技法)品のことを言います。型に流して造る「鋳物」とはまた違った、ハンドメイドならではの質感が魅力です。
ロートアイアンも、物によってオープン・クローズ外構の両方で利用できます。
クローズでは、門扉はもちろん塀の隙間に飾りとして差し込んだり、塀の上にフェンスや飾りとして設置したりし、大変美しい曲線とその質感でクローズ外構の重苦しさを和らげてくれます。
画像引用:株式会社メタルクリエイトWEBサイト
オープンでは、窓の飾りや面格子にしたり、フェンスは視界を塞がず敷地境界におしゃれに使用でき、殺風景になりがちなオープン外構のアクセントとして美しく映えます。
デザインも千差万別で、曲線が多いキュートな物だけでなくモダンでクールなものもあるので、ぜひ外構の付加価値として使ってみてください。
画像引用:株式会社メタルクリエイトWEBサイト
★この記事を読んで
「これ悩んでた!」「ずっとどうにかしたかった」とピン!と来た方★
まずは質問してみる → 問合せフォーム
対面で相談したい → 来店・相談予約
ちょっとしたご質問でもお気軽にどうぞ♪