庭やエクステリアを美しく健康に保つ ―梅雨から夏の間の「強風」を制する―

雨露に濡れる葉
アマドコロ/根を深く張り強健な多年草。斑入りの葉は鑑賞価値も高い

 

今年も、少し遅めではありますが梅雨が南から始まりました。
この時期に台風発生も増え始め、梅雨前線と台風が接近し大変な大雨と強風を引き起こすことがしばしばあります。

そんな大荒れの状況がやっと去り「家から出て見たら…絶句」なんて体験をされた方もおられるのではないでしょうか?また、台風自体が強風を吹き荒らし破壊を尽くすこともあります。

今回はそんな強風への対策を考えてみましょう。

 

 

 ★CONTENTS★

 ◇そもそも強風はなぜ起こるのか

 ◇庭・エクステリアに強風が及ぼす影響
  ・植物が倒れる、折れる、鉢が倒れる
  ・ガーデンパラソルや軽量家具の飛散、倒壊
  ・風による土壌の浸食

 ◇影響への対策
  ・植物の配置で風の勢いを弱める
  ・適度に風を通し強度の高いフェンス
  ・ガーデン用品には固定方法や重石を
  ・マルチングやグランドカバーなどで土壌を保護

 ◇まとめ

 

そもそも強風はなぜ起こるのか

強風被害

まず「風」について確認しましょう。風は「空気の動き」で、空気は常にお互いを押しあっています。その押す力が「気圧」で、気圧が高い方から低い方へ空気が押されることで「風」が起こります。

梅雨のメカニズム

温度が違う空気の境目を「前線」といい、梅雨をもたらす「梅雨前線」は太平洋高気圧&大陸南部のモンスーン気団(温かく湿った空気)と、オホーツク海高気圧&大陸北部の大陸気団(冷たく乾いた空気)がぶつかり合い停滞する領域のことを言います。

梅雨はこのぶつかり合いが停滞することで、前線に雲が多く発生し長雨が続く仕組みです。

 

強風と言えば「台風」ですね。台風は海面水温が高く上昇気流が起きやすい赤道付近で発生します。

上昇気流によって発生した積乱雲が溜まり渦を作り、渦の中心気圧が下がりさらに発達して熱帯低気圧となり、それが一定の勢力(風速)を超えると「台風」となります。

 

庭・エクステリアに強風が及ぼす影響

台風はもちろんですが、近年では突然の突風や竜巻が発生することが増えていますね。地表の温かさと積乱雲による気流の影響で発生するようですが、温暖化だけではなくコンクリート面の増加や都市部の樹木など空気冷却の機能が少ない事も起因しているように、個人的には思います。

 

では、強風が起こることによって、お庭やエクステリアにどのような影響があるでしょうか。

 

◇植物が倒れる、折れる、鉢が倒れる

強風で倒れた鉢

ガーデンエレガンスショールーム内の観葉植物専門店「Cotoha uji」でも時々あるのですが、テラスに置いている屋外用の中木鉢がことごとく倒れるような強風が吹きます。鉢に植え替え土を増やして対処し、強風でも倒れなくなるようになりましたが、台風には耐えられないでしょう。

地植えの庭木の場合、枝が折れたりあおられて幹から折れたりしてしまうことがあります。

 

◇ガーデンパラソルや軽量家具の飛散、倒壊

強風で壊れた柵

エクステリア商品には耐風強度がそれぞれあり、それを超えると壊れたり折れたりしてしまうリスクが高まります。思わぬ突風や台風で「カーポートのポリカーボネート屋根が飛んで行った」などは時折耳にすると思いますが、強風で屋根ごと飛ばない構造のためポリカ部分のみ飛んでしまうようになっています。

とは言え落下することを考えると危ないですよね。

 

パラソルや隙間のないフェンスなどの風を受け止めてしまう構造の物は、強風には特に弱いです。軽い家具は容易に飛ばされてしまいます。壊れるだけならまだ不幸中の幸いと言えますが、吹き飛んで近隣に被害を及ぼしたらと思うと、お庭やエクステリアが近隣に及ぼす影響の大きさを感じます。

 

◇風による土壌の浸食

乾燥地帯や強風が頻繁に発生する地域で多く起こる現象が、土壌の浸食です。
土の表面が風で吹き飛ばされることで、表層の有機物や栄養素が失われてしまい土壌の肥沃度が低下、植物の生育に影響してしまいます。

 

また強風で土の表層を吹き飛ばされることで、微生物の活動が弱ったり粒子構造が壊れ保水力の低下を招きます。したがって植物の根が栄養や水を得られない土壌になってしまうのです。

 

影響への対策

強風の影響は、植物や物に対して直接起こる物と、その環境に対して起こるものがある事がわかりますね。
つまり、お庭環境を守るための対策、エクステリアを破壊されない商品の選び方、この2つが大切になってきます。

 

◇植物の配置で風の勢いを弱める

強風対策の庭木

根を強く張り幹が太く育つ、強風に強い中~高木や低木を組み合わせて配置し、庭へ吹き付ける風の量を調節するよう植樹帯をつくります。
庭に吹き付ける強風自体を弱められれば、家具や小物が吹き飛んだり土壌を侵食するほどの影響を及ぼさなくなります。

 

◇適度に風を通しつつ強風をブロックするフェンス

三協アルミ/フレイナ
三協アルミ/形状フェンス「フレイナ」:耐風圧強度が最大風速42m/秒
※風速42m/秒=走行中のトラックが横倒しになるくらいの風(気象庁)

植樹帯をつくると言っても、若い木から育てる場合がほとんどで植物が育つ前に強風に倒れるかもしれません。そうならないよう、ぜひ耐風強度が高いフェンスを設置しましょう。頻繁に風が吹き込む場所には防風ネットを併用するのも良いでしょう。

 

◇ガーデン用品には固定方法や重石を

使用しない物は収納しておくのが当然良いのですが、お庭づくりのための装飾などはなかなか収納できないものです。そのため風についての注意報などに即座に対応できるよう、すぐに持ち運べるものはそれをまとめて運ぶ手段、移動が難しいようなサイズ感のものは固定手段を、それぞれ即座に機能する状態で整えておきましょう。

 

◇マルチングやグランドカバーなどで土壌を保護
マルチング マルチング
   

マルチング(植物の株元を何らかの方法で覆うこと)やグランドカバー(植物のじゅうたん)をすることで、土壌の表層が吹き飛ぶのを防ぐことができます。

強風対策以外にも、夏の地温調整や雑草対策、調湿などのメリットもあります。グランドカバーについては広範囲を緑で覆うため単純に癒しにもなりますね。

 

まとめ

グランドカバーの庭

こうして強風対策を考えてみると、対策すべき様々なポイントがありましたね。1つ対策すれば良いと言うことは無く、お庭・エクステリアの状態に合わせて普段から対策しておく事が大切です。

 

エクステリアは「街づくり」を担っています。

近隣と安全・快適な暮らしを共有するためにも、ぜひ日頃から強風対策をしておきましょう。

 

 

 

ひらめき

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