アプローチにいかがですか?-飛石-
飛石は安土桃山時代に茶室への路地で用いられるようになったと言われます。土はねや水で裾が汚れないよう打ち始めたとされ、石の並べ方には様々な種類があります。
現代では隙間なく石やタイルを敷きつめる施工方法が増え、昔ながらの飛石を見られるのは純和庭の場合が多いですが、その美しさには日本人の自然との関わり方の精神が見えるような気がします。
今回は、そんな飛石の魅力を見ていきましょう。
飛石の魅力
飛石に使う石は表面が平らな天然石だけではなくさまざまな商品があり、多様なデザインに用いることが可能になっています。
どんな役割、メリットがあるのでしょう?
◇歩きやすく、汚れない
飛石は元々裾を汚さずに路地を進むための「足場」ですので雨が多い日本では重宝され、当然雨や土はねから裾・足元を守り整えるのが役割となります。
また、植栽を愛で緑に囲まれた空気を味わいながら、飛石に導かれるうちに目的の入り口にたどり着けるのは、日本庭園の飛石が持つ魅力のひとつですよね。
◇景観を造り、整える
飛石を打った場所の歩きやすさを「わたり」と言います。飛石には、わたりに影響する動線からわざと外した場所に打つ「踏外し(ふみはずし・「控え石」とも)」という小型の石があり、歩みの補助と景観を整えるために用います。
人の目線と動きを演出する飛石で、庭木や花など植栽と一緒にアプローチの景観をつくれば、エクステリアとして素晴らしい空間になるでしょう。
◇空間をデザイン
アプローチに飛石を打つことで、歩みを導く役割が玄関までの “おもてなし感” を演出してくれます。
素材やデザインでナチュラル、和、モダンなど様々な表情で空間をデザインすることができますよ。
◇素材を選ぶ楽しみ
飛石と一口に言っても、石の種類や大きさ、現れる柄や色は一つ一つ違います。
プロに任せてしまうのも仕上がりの楽しみとしては一興ですが、こだわりの植栽があればそこに合わせた石を選んだり、家族全員でお気に入りの石をそれぞれ選ぶなども良い思い出になり、思い入れのある飛石アプローチとしておすすめの楽しみ方になることでしょう。
気を付けるポイント
◇飛石に用いる素材
飛石を打つ際に用いる素材ですが、必ず滑りにくい素材を選びましょう。特に足を乗せる面が小さい飛石の場合は、表面に光沢のある石やタイルは注意が必要です。
筆者は底が擦り切れツルツルの草履で小雨の中お庭散策中、ズルっといってしまい手をついて手首を痛めた経験があります。。。
日当たりが悪い場合は苔が生えて滑りやすくなったりもしますので、できるだけ水はけのよい処理をしたり、生えた苔はマメに取り除くようにしましょう。
◇ベビーカーや大きな荷物搬入がある場合
飛石は周囲より数ミリから数センチの段差が生じます。そのため、不安定な状態で通る(ベビーカーを押す、重い・大きい荷物を運ぶ、ハイヒールを日常的に履くなど)ことが多い場合は、玄関アプローチには飛石は避けるのが無難です。
どうしても飛石のデザインを取り入れたい場合は、色・素材の組み合わせで飛石風の景観にするのが良いでしょう。石材を設置し隙間を洗い出しで埋めるデザインは、段差を付けずに飛石風の仕上がりになり且つ、モダンや洋風住宅でもマッチするためおすすめです。
◇飛石周辺は手入れが必要
雰囲気や美しさに魅入られて飛石を選ぶ人は多いと思います。ですが、飛石の周辺は雑草が生えやすかったり敷きつめた砂利が飛散したりと、お手入れが結構必要です。
落葉樹を植えていれば、葉がはさまったりして掃除も手間がかかります。
手入れを継続できる人がいれば大変素敵なエクステリアですが、この点はよく考慮した方が良いでしょう。
◇費用を抑えるのが難しい
石は一つ一つが高く、飛石の配置にも熟練技と知識が必要です。外構やエクステリア全般のコストを抑えたい場合は不向きな仕上げです。
コストを抑えたい場合は、コンクリート平板や石風舗装材+洗い出しやコンクリートなどで、手入れも楽な飛石風デザインにするのが無難でしょう。
飛石はアプローチでなくても
飛石がある空間がいかに空間演出をしてくれるかを考えると、アプローチでなく当然庭づくりにも生かすことができます。
庭木・植栽を愛で、鑑賞する暮らしには、飛石ほど素晴らしい演出はないと(筆者個人的に)思います。ぜひ取り入れを検討してみてください。
和の庭も、モダンな庭も、ナチュラルな庭も。お好みをぜひご相談ください♪
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