ドライガーデンが今人気!良い庭にする条件とは
あなたのご自宅のお庭はどんなお庭ですか?近年では主庭を家前に持ってくることも多く、お庭づくりが非常に街づくりに寄与している側面を持っています。
また家前の庭は家の顔になるため、こだわりを持って庭づくりをされる方も多いでしょう。
ただ、庭の手入れとは総じて労力を伴うものです。お休みもままならない忙しい日々を過ごす方が多い現代、ゆっくりとお庭の手入れ時間を取れる人は多くないと言えるでしょう。
そんな時代の余波、と言うより恐らくなるべくして、ドライガーデン人気が高まっているようです。
ドライガーデンとは何か?ドライガーデンは何が魅力なの??
今回はそんな疑問を紐解いていきましょう。
★CONTENTS★ ◇ドライガーデンに重要な要素 ◇まとめ |
ドライガーデンとは
日本ではドライガーデンと呼ばれているお庭のジャンルですが、アメリカでは「アリゾナ(乾燥地帯であるアリゾナを模倣して)ガーデン」や「カクタス(サボテンのこと)ガーデン」「サキュレント(多肉植物)ガーデン」などと呼ばれます。
1800年代終わりごろに、カリフォルニア州知事スタンフォード夫妻のために造園家がカクタスガーデンを設計して作庭したのが始まりのようです。現在はスタンフォード大学内の「アリゾナガーデン」となっています。
作庭当時のカクタスガーデン
出展:サンタクルーズ大学図書館デジタルアーカイブ
では、アリゾナ州の乾燥地帯を模した庭とは、何ぞや。
アリゾナの乾燥地帯をトレイルするコースです。まさにドライガーデンの源。
アリゾナサボテン「Barrel cactus」です。Barrelは“バーレル”=樽のことです。
名前の由来は少しふくらみのある中部分の見た目からか、はたまた樽のように水を蓄えているからか。
ドライガーデンは、このような乾燥性気候の土地の様相を再現したお庭なのです。
基本的には乾燥性気候に対応している植物を用い、植物の生育環境に合わせた構造に仕上げます。つまり多肉植物がメインになるのです。
スタンフォード夫妻が雇っていた庭師が1925年に引退後、カクタスガーデンは一度荒廃したそうですが、1997年に修復が始まり修復開始まで72年間も放置されていたにも関わらず、元々植えられた植物が今でも一部残っているそうです。
それだけ丈夫な庭、通常の植栽庭園より手入れを圧倒的に楽にできるのが「ドライガーデン」だという事ですね。
ドライガーデンに重要な要素
ドライガーデンが乾燥地帯、特にアリゾナの風景を再現したものだと言うことはお分かりいただいたと思いますので、次はその条件を考えてみましょう。
◇土壌について
ドライガーデンは乾燥地帯の植物が主ですから、当然土壌は水はけが良いことが条件になります。多肉植物は乾燥した地帯で生き延びるため、表面のトゲからも空気中の水分を取ります。徹底的に乾燥状態に適応しているのです。
ドライガーデンを造るには、水はけが命。多肉植物は水分をため込む能力に長けているため、水が多すぎると根腐れしてしまいます。
従って粘土質な土壌や雨で水が溜まってしまうような土壌の場合は土壌改良が必要です。建築計画の段階でドライガーデンを造りたい旨を伝えておくのが無難でしょう。
◇日当りについて
多肉植物は先述のアリゾナや南アフリカ南部・南米北部(メキシコ)の砂漠や高原地帯・海岸などの乾燥地帯のものがほとんどのため、日当たりが良い場所に作庭する必要があります。
どうしても日照を確保できない場合は人工光源で補います。
近年では資格が無くても設置が可能なガーデンライトが様々販売されていますので、しっかりと光が当たるようライトを配置してくださいね。
◇風通しについて
どんな植物にも、風通しは大変重要です。風が当たることで葉から水分を蒸散させ水の吸い上げが早まり、そうなると土の乾燥を促進し根腐れのリスクが下がります。
元々乾燥地帯出身の多肉植物は水分が多い土や湿気が苦手のため、多湿な日本では特に風通しが命と言えます。
◇石・岩について
ドライガーデンに似たタイプに「ロックガーデン」がありますが、ロックガーデンは岩場を再現した庭なので、趣旨が異なります。
石や岩をドライガーデンで配置する場合は、どのような乾燥地帯を再現したいかで計画するのが良いでしょう。砂漠地帯を再現したいのであれば沢山の岩石は使いませんし、海岸を再現したいのであれば大きな岩と高低差が必要でしょう。
スタンフォードのアリゾナガーデンは、石は少なく植物がメインですね。散策できるよう、通路を設けてあります。
作庭は何を再現するのかが大変重要ですので、色々な乾燥地帯をチェックして、お望みのイメージを固めてくださいね。
砂漠を走る電車 アメリカっぽいですね
多肉植物について
サボテン?多肉植物?
サボテンはそれ単体で呼ばれることが多いですが、もちろん多肉植物の一種です。多肉植物の中でサボテン科が一番多種類であるため、特にサボテンは独立して呼ばれるのです。同様にユッカやドラセナなどのリュウゼツラン科や、アロエ科もひとつのジャンルとして成立していますね。
ユッカ ロストラータ(リュウゼツラン科) |
キダチアロエ(アロエ科) |
日本では漢字の名前が付いた種類も多く見られますが、流通が増えるとわかりやすいように漢字名をあてがう慣習があるようです。江戸終期~明治時代に輸入されるようになり、横文字に馴染みのない当時の人が漢字名を付けた名残のようです。
まとめ
乾燥地帯は植物など生育できない“地獄の地”のような気がしていた人もいたのではないでしょうか?そんな環境に根を下ろし、適応してきたたくましい植物たち。
ドライガーデンは、そんな生命のたくましさを表現するものなのかもしれません。
ほとんど放置でよい手軽さが魅力のひとつではありますが、地球の陸上では「過酷な環境でも生命がある」ことを再現できるからこそ、「庭」として受け入れられたと言えるのではないでしょうか。
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